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【メンター・インタビュー】新しい時代、各自の能力を伸ばす(小宮山 利恵子さん)

【メンター・インタビュー】新しい時代、各自の能力を伸ばす(小宮山 利恵子さん)
小宮山 利恵子 さん
東京学芸大学大学院

 

これからのリーダーシップ、これからのガールズエンパワメント

2019年のGUPにメンターとして参加しました。インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムのご縁で大使館からお声がけがありました。日頃、女性の社会進出について考えていて、これからの時代にはガールズエンパワメントが重要だと痛感していたことも参加の動機です。日本は、まだまだ女性活躍の機会が少ないと感じています。政治に関わっていた時も、秘書は女性・議員は男性という暗黙の了解があり、女性議員は10%もいない。民間企業にも管理職が少ない。しかし、これから、VUCA時代と呼ばれる先行きがよくわからない時代に突入していく時代には、色々なアイディアや視点が必要となり、そのためには意思決定に女性が入っているかどうかが鍵となります、それを促進するエンパワメントの試みに関わりたいと思いました。

ガールズの印象は、積極的で、自分の中学時代とは全然違うなと思いました。こんなプログラムもなかったし、そもそもこんなに積極的に自分を発信することもなかったなと思います。考えれば、1995年がインターネット元年で、そこからひとり一台のPCが普及して、情報の拡散が始まったのです。その環境を当たり前として育っているので、情報にアクセスしやすく、参加のハードルも下がっているのだろうと思います。

メンターとして参加している方々も魅力的な人ばかりでした。これまで、国務省の他の参加者と交流を深められるだけでなく、新しいリーダーシップの定義を知り、ガールズとともに学びのアップデートをすることで、メンターにとっても良い機会だと感じました。

短所ではなく長所に目を向けて、それぞれの個性と能力を伸ばす

株式会社リクルートで「スタディサプリ」などの教育事業に関わり6年目になります。個人的に、ひとり親家庭に育ち、経済的な支援を受けて高等教育の機会を得たという経験がありますので、すべての子供たちに教育の機会を与えることを自分のミッションと考えています。教育とは、将来の選択肢を増やす手段だと考えています。

今までのキャリアでは、テクノロジーを使った学びで子供たちを育てることに取り組んできました。目下、教育テクノロジーで学びを個別最適化するという研究に取り組んでいます。「スタディサプリ」のログを使って学びを分析することで、それぞれの個性と能力を明らかにしていく取り組みです。他にも、東京学芸大学大学院でイノベーションやアントレプレナーシップを教えるほか、旅と学びの協議会、八代市のアドバイザー、農業関係のベンチャーなど、20以上の学びのプロジェクトに関わっています。十年以上先の世界の方向性を見据えつつ、一、二年先のことを考えて今具体的に何をすべきか、の積み重ねで走っています。自分の好きなことや得意なことをつなげて進み、今があるという感じです。

社会がこの先どういう方向に進むかを考えると、ひとりひとりの長所を伸ばせるような教育が求められていると思います。平均的な人間を作るのではなく、むしろでこぼこを大切にする考え方です。荻生徂徠の「徂徠学」にあるように、できないことを矯正するのではなく、それぞれの良いところを伸ばしていく考え方が必要なのではないでしょうか。

働き方も変わってきます。企業の平均寿命が約20年と短くなり、ひとつの会社での終身雇用を前提とする時代は終わります。プロジェクト型の仕事が増えていくに従って、自分の得意や好きなことを伸ばし、協働して、足りないところをお互いに補えるような関係を作る能力が求められます。各人のクリエイティビティがかつてなく求められている時代、そのような人材を育てる教育に携わっていきたいです。

疑問を持つ力の大切さ

テクノロジーを使った教育法を追求するほど、ますます、アナログでリアルの学びの大切さを感じるようになりました。旅や人との出会いなどの実地の学びの機会でしか伸ばせない能力があると気づき、キャンプを通じた教育の取り組み等をしています。

GUPは、そういう意味で、非常にアナログでリアルな体験ができる場所と言えると思います。親でも先生でもなく、自分の学齢に関係ない他人、いわば「第三の大人」と、ななめの関係を作れる場所を提供しているからです。自分の身近にない文化との接触をする機会はとても貴重です。哲学対話を主催していますが、人間が新しいことを知るには対話を通じた内省が重要です。生徒の頭の中に、はてなマークを浮かばせたい。GUPは一期一会の良さを活かし、疑問を持つ機会を与えていると思います。

ガールズへのメッセージ

発信してください!テクノロジーが発展し、誰もが発信者になれる時代なのですから。国や民族の垣根に囚われず、横や斜めの連携を取ることのできるチャンスです。自分の意見を臆せずに発信し、周囲の人々とつながってほしいと思います。発信していく中で、自分がやりたいこともおのずからわかってくると思います。