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girls be ambitious | GUP運営メンバーインタビュー:大谷千恵先生

「女子中高生のエンパワメント」は自分ごと

 私がGUPに携わることになったのは、 2011年にE-eacher Program に参加したことがきっかけでした。米国国務省から送られてくる案内や記事を読んで、#GO GIRLS ! PROGRAMのことを知りました。米国大使館の取組みは、魅力的なものが多いのですが、その中でも、GUPの前身である#GO GIRLS ! PROGRAMは「女子中高生をターゲットとしている」点がアンテナに引っ掛かりました。ちょうどその時期、私は中学生と小学生の娘たちの母親でもあったので、女の子のエンパワメントやリーダーシップというテーマは、教師としての仕事としてのみならず、自分ごとだったんです。
 
「どんな生き方をしても良いけれど、自分の財布を持っていた方が良い」と、シングルマザーだった母に教えられました。実際、独り身で家庭をやりくりすることがすごく大変であることを感じて育ちました。
 そのため、やりたいことをやるためには、やりたいことと、必要なことのバランスが大切であるということを、身を持って感じていました。
 男性は男性で「男なんだから、稼げるようにならないと...」 という世間の言葉にプレッシャーを感じながら生きているのと同様に、女性も「女の子だから...」と言われることが、よくあります。ジェンダーだけでなく、様々なアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が、社会に見えない形で埋め込まれています。

 日常的な会話の中でも、無意識に性別に偏った役割分担やアンコンシャスバイアスが存在する。
その積み重ねの結果が、女性の管理職の割合や理系への進学率など、本人も意識しないうちに影響しているのが女の子なんだと思います。だとしたら、どんな取組みによって、アンコンシャスバイアスを解決することができるのかということに興味・関心を感じて、GUPの前進である#GO GIRLS ! PROGRAMにメンターとして参加しました。
 そして、GUPの運営メンバーである並木先生から、これからを生きる女の子たちにより多くの選択肢と出逢いを提供する大切さについてのお話を伺い、GUPの運営に自分自身も携りたいと思いました。


枠を越える「出逢いのコミュニティ」

 GUPの魅力の1つは、普段の生活では出逢えない人と出逢える場である、ということです。GUPには、早いタイミングでアンコンシャスバイアスを感じながらもバランスをとった働き方や生き方をしている方がたくさんいます。その人たちは、素晴らしいキャリアを築きながら も、「こうしなきゃいけない」「これが成功だ」 という固定概念に囚われてはいない人たちです。 そういった人たちと出会い、話をしていくプロセスを通じて、学校や家族という枠を超え 、「そんなこと言っていいんだ」「こんなこと考えてもいいんだ」という感覚を、このプログラムに参加するガールズ自身が気づき、育んでもらえたら嬉しいです。

 私自身、子どもが小さかった時は、子どもの送り迎えや子どもの生活リズムと大学教員としての仕事とのバランスに難しさを感じました。子育ての時間的制約があっても、そういうことに関係なく結果や業績が評価されます。失敗もたくさんしましたが、段取り力や判断力はすごく鍛えられました。だから、育児休暇期間はキャリア上のブランクと捉えられがちですが、むしろ「人間研修期間」だと思います。「 仕事と家庭の両立」と言う言葉を散見しますが、「両立」ではなく「バランス」が大事だと私は感じています。

  学校で過ごす時間が圧倒的に多いので、当然の結果だと思いますが、日本の中高生が日常で接触する大人は、家族や学校、塾の先生が多いと思います。一日に占める人間関係が圧倒的に少ないんです。
 米国では、放課後、地域のスポーツ、習い事、教会などの活動など、学校や勉強以外の「コミュニティ」に参加している人が少なくありません。GUPもそんなリフレッシュできる居場所やコミュニティの一つにしたいと思っています。

今までの自分を越える、自分発見の一歩に

 私自身、一生懸命頑張っているガールズたちの姿を見ながら、大きな刺激を受けています。
 ガールズたちが真剣に「今」に悩み、話し合い、「今」を大事にしている。そんな姿を見ながら、自分も負けられないな、と思っています。

 これまで、いろんなガールズを見てきました。ありのままの自分をさらけ出せる場が欲しい人、「女の子だから...」というアンコンシャスバイアスに違和感を感じたことのある人、自分の世界や可能性を広げたい人、学校と家の人間関係以外での新しいネットワークをつくりたい人、親や先生以外で活躍している大人たちとの出逢いたい人、新しい仕事や働き方に出逢いたい人...。

  GUPには、今、この瞬間に同じように悩み、言いたいことが言える、「素の自分を出せる場」になってもらいたい。だから、GUPが、今までの自分を越える、新たな自分を発見するための手助けになったら嬉しいです。メンター、運営メンバーの大人たちも含めて、ガールズそれぞれが、自分の短所も含めて自分をさらけ出し、自分を発見していけると良いと感じています。

 ありのままの自分で、自分らしく人生を楽しむことが出来る人がきっと増える。結果として、 いろんな人がいろんな分野で出てくる。その積み重ねで、いつかOECD ※1 で日本は男性・女性・LGBTQの方もバランスよく管理職にいて、みんなで創っている社会であることが証明できたら良いと思います。

※1 OECD(経済協力開発機構)・・・​​より良い暮らしのためのより良い政策の構築に取り組む国際機関