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【メンター・インタビュー】世界の広さと多様さに出会ってほしい(福井 美穂さん)

【メンター・インタビュー】世界の広さと多様さに出会ってほしい(福井 美穂さん)
福井 美穂 さん
(特活)ピースウィンズ・ジャパン

さまざまなキャリア、仕事、生き方の出会い

2019年のGUPにメンターとして参加しました。参加しているガールズのとても積極的な様子に驚きまたうれしく感じました。普段、関わらない世代の中高生の感じ方に触れる新鮮な機会でした。

自分と違う業界の様々な専門知識をお持ちの他のメンターのお話を聞けたのも大変興味深かったです。特に印象に残っているのは「メンターカフェ」という、自分のキャリアと生活についてガールズにプレゼンするワークショップです。私のこれまでの経歴を紹介したところ、グループのメンバーから「上を目指して登ることが目的ではなく、その時その時に直感で川を流れるように進む「ドリフティング型」とでもいえるような自然体のキャリアですね」というコメントをいただき、のんびりとした自分の生き方にも型があったのかと興味深かったです。自分も含め、さまざまな生き方があることをガールズと共有することで、人生に正解はひとつではなく、進む道も進む方法もたくさんある事に気づく機会になるとよいなと感じました。
 
プロとして、いま一番困っている人に寄り添う

私の「ドリフティング型」のキャリアは、国際協力の分野を進んでいます。所属している団体では、アフリカ地域のマネージャーとして、南スーダンを中心に四カ国の難民キャンプ、国内避難民キャンプなどでの緊急人道支援と開発支援事業を統括しています。難民、国内避難民、ホストコミュニティの給水衛生支援、農業支援、そして最近では新型コロナウィルス感染症対応などハード・ソフト両面から支援を行っています。
 
GUPでメンターとして参加している間も南スーダンに毎月のように出張していました。支援しているコミュニティでは物質的には足りないものも非常に多いのですが、現地で出会う子どもたちから受ける印象が常に不幸かというとそうではなく、紛争影響下の大変な中、皆明るい笑顔を見せてくれて、生き生きして元気な様子のかれらに学ぶこともとても多いです。日本は逆に、物質的にはないものを探すのが難しいくらいですが、成功や何者かにならねばいけないというプレッシャーに苦しむ人が多くいるとも感じます。
 
個人としては、今は緊急人道支援に関わっていられることが幸せであり、支援の質をあげていきたいと思っています。特に、ジェンダー課題に配慮した支援のあり方をさぐっています。日本の市民社会の一員として、世界全体を見て一番困っている人の力になりたい。その思いから派生していく道を、これからも歩んでいきたいです。
 
「平場」でやっていく力の重要性

GUPは、日本の社会には少ない、若い世代に肩書を取り払った世代間交流を提供する貴重な機会だと感じました。人とのつながりという、重要な社会資本を作れる場所だと思います。日本では、社会のためボランティア活動に従事することがあまり一般的ではないかもしれませんが、欧米には非営利の分野で家庭や職場とは別のコミュニティに属することがセーフティネットの一つとして役立ち、その人の人生を支える社会資本となる、という考え方もあります。多様な人のいる空間に自分を置くことでコミュニケーション能力も鍛えられます。普段の肩書きや職を離れた、いわば「平場」でのやりとりを通して新しい視点と刺激を受けることができます。青少年教育は社会の責任でもあり、日本の女子中高生は社会的なサポートが必要なグループであると感じています。彼女たちの支えのひとつになっていければ幸いです。

ガールズへのメッセージ

皆さんそれぞれの夢を遠慮なく追いかけてください。私たちの世代では社会の構造的な差別をすべて解消することはできなかったけれども、社会は確実に変化しています。皆さんの活躍で、より良い世界の実現を目指してほしいと思います。世界の移動も格段にたやすくなりましたし、皆さんも、コロナ禍のあとにはぜひ世界で自分の目で色々なものを見て人と出会ってください。

 

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福井 美穂(ふくい みほ)

長野県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。旧ユーゴスラヴィア、アフガニスタン、シエラレオネ、南スーダンで緊急人道支援に従事。政府機関研究員、大学特任講師を経て、特活ピース ウィンズ・ジャパン海外事業部アフリカ事業マネージャー、青山学院大学兼任講師。